株主との建設的な対話に関する方針

当社は、株主との対話について、管理本部長がその統括を行うこととしており、経営企画部広報グループ、管理部、各事業部その他関係部門と連携を図りながら株主をはじめとするステークホルダーとの対話を合理的な範囲で前向きに進めています。また、年2回開催しているアナリスト・機関投資家向けIR説明会では、代表取締役が直接説明を行い、把握した意見等について経営陣に適宜報告しています。

なお、対話に際しては、法令及び社内規定に基づき、インサイダー情報の漏洩がないよう情報管理を行っています。

投資家との対話

当社では、投資家との対話を重視し、代表取締役をはじめマネジメント層による対話の機会拡充に取り組んでいます。また、IR部門責任者において実施した投資家との対話については、経営会議および取締役会において年2回、経営へのフィードバックを実施しています。

対応者 形式 2021 年度 2022年度 2023年度
代表取締役社長 決算説明会 2回 2回 2回
個別ミーティング 5件 5件 6件
エンゲージメントミーティング 0件 0件 1件
取締役・執行役員 事業説明会 0回 0回 1回
エンゲージメントミーティング 0件 1件 1件
IR部門責任者 グループミーティング 0回 7回 11回
個別ミーティング 34件 48件 79件
エンゲージメントミーティング 0件 2件 2件
施設見学会 0回 3回 2回

 

投資家との対話状況

2023年度に実施した対話の事例について掲載しています。

対話の事例

回答

近年、利益成長が顕著だがその背景は?

ヘルスケア事業(シリカゲル、医薬品原薬・中間体)の拡大が大きな原因。

糖尿病治療薬のGLP-1は肥満症治療薬としても注目されているが、御社のシリカゲルはGLP-1の精製工程でも使用されているか?

当社のシリカゲルは医薬品製造において不純物を取り除く精製工程で使用されており、糖尿病治療薬をはじめとする中分子医薬品で採用されている。GLP-1の精製工程でも使用されていると認識している。

肥満症治療薬の将来の需要増加に備えて設備増強を実施されているが、想定以上に需要の立ち上がりが早い場合の対応は?

松山工場に新製造設備を建設中である。2024年9月に完成予定で、バリデーション期間を経て2026年から商業生産を開始する計画である。さらに、松山工場だけでは製造能力が不足するとの予測から、尼崎工場に1ライン増設を決定、着工している。尼崎工場の新製造棟は2026年度から商業生産を開始する予定で、両工場の増設により生産能力は現在の約2倍となる。増設が完了する2026年までは、運転延長による増産対応や、収率アップ、生産工程の効率化等も併せて実施し、需要を取りこぼすことの無いよう対応していく。また、需要の時期を見て迅速に次期増設の計画を検討することも視野に入れていく。

肥満症治療薬がブームになると、シリカゲル事業に対して新しい企業が参入してくる恐れがあると思う。御社の強みや参入障壁について整理して教えて欲しい。

当社のシリカゲルは、50ミクロン以下の微細なもので、サイズの均一化だけでなく、表面に空ける細孔の制御や、化学的に表面を修飾し分離精度を高める技術が求められ、その製造には高い技術力が必要である。当社では分析用途、分取精製用途ともに同じ製法で製造しており、顧客の開発段階からスケールアップまでフルサポートできることが当社最大の強みであると考えている。

さらに、医薬品製造に組み込まれて認証を取得されるため、一度採用されると容易に切替えが出来ない製品である点も、参入障壁が高い理由と認識している。

機能化学品のアクリルゴムはどのような広がりを見せているのか?

他社のアクリルゴムからの代替も進めているが、一方で、別の違った素材から当社アクリルゴムへの切替も進んでおり、少しずつ成果が出ている。

エピクロルヒドリンゴムは需要面でしばらく停滞するのではと思っていたが、需要自体は堅調に推移しているのか?

一昨年から昨年に対して販売数量は増加し、さらに今年度も前年から増加見込みで、需要自体は堅調に推移している。今はEVそのものが少し逆風にあり、ヨーロッパを筆頭にエンジンを搭載したハイブリッド車やPHEV車が見直されている面がある。また、インドを筆頭に途上国では排ガス規制対応として他材料から当社のエピクロルヒドリンゴムへの切替の動きも進んでいる。

アリルエーテルの増設はしないのか?

電子材料や土木建築材料に使用されるシランカップリング剤向けの市場成長率は年率3~4%の伸びとみている。中長期的には確実に成長が見込まれるが、2023年度は中国向けで需要が一時低迷した。そのため増設時期については検討中だが、いずれ将来必要と考えている。

今後の収益の見通しは?

ヘルスケア事業は堅調に拡大するとみている。基礎化学品は市況に左右されるところもあるが生産体制の効率化運用を行い、コスト面で柔軟な対応を行っていく。機能化学品はアリルエーテルの市況に左右されるが、合成ゴム・合成樹脂は安定的に利益を出すことができるとみている。