気候変動に関する基本的な考え方

当社は、気候変動が地球規模の課題であり、事業活動においてその影響を最小限に抑えることが重要であると認識しています。脱炭素社会の実現に向けた取り組みを企業の責任と位置づけ、温室効果ガス(GHG)排出量削減やエネルギー使用量削減など、気候変動への対応へ積極的に取り組んでおり、TCFDの提言を踏まえて、ガバナンス、戦略、リスク管理および指標と目標を以下のとおり設定しています。

ガバナンス

当社は、気候変動リスクの管理を経営の重要課題と位置づけています。取締役会は、代表取締役 社長執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会から気候変動に関する報告を受け、削減目標達成に向けた施策の進捗状況を監督しています。

戦略

 当社では、1.5~2℃シナリオおよび4℃シナリオを用い、脱炭素社会への移行に関連するリスク(移行リスク)と温暖化進行にともなう物理的影響に関連するリスク(物理的リスク)をそれぞれ抽出しました。気候関連のリスクと機会を特定するにあたっては、リスクが出現する時期を短期(1年未満)、中期(1年以上3年未満)、長期(3年以上)と定義し、事業への影響度を評価しています。1.5~2℃シナリオでは、物理的リスクと比較して移行リスクが相対的に高くなり、一方、4℃シナリオでは、台風・洪水などの災害多発化にともなう操業度低下や資源供給不安定化などの物理的リスクが相対的に高くなると想定しています。当社にとって重要な気候変動に関する移行リスク・物理的リスクと機会を以下のとおり認識し、対応方針を策定しています。

リスク・機会の種類

顕在化時期

(※3)

事業影響度

対応方針

移行リスク     

(※1)

政策・法規制

炭素価格など規制対応コストの増加

短期

  • 高効率機器の導入
  • 省エネ活動の推進
  • 生産工程の合理化
  • グリーンエネルギーの利用促進

オフセットクレジット価格の上昇

長期

規制による一部素材の価格上昇や調達の困難化

短期

  • サプライチェーンにおける脱炭素活動の要請および積極支援

市場

環境負荷の大きい商材の需要減少

短期

  • 生産工程の低炭素化の検討

物理的リスク        

(※2)

急性

急激な災害による事業拠点の操業度低下

中期

  • 防災設備、資機材の整備
  • 大規模地震等を想定した防災訓練の実施
  • BCPの見直し
  • 老朽化設備の計画的更新

サプライチェーンの被災による操業停滞

中期

  • 持続可能な調達に向けたサプライチェーンマネジメントの実施

自然資源や水、電力、原材料等の供給量が不安定化

中期

  • 原材料の調達先の多様化

慢性

中期

機会

製品サービス

環境配慮技術の開発や実装に対する助成の強化

短期

  • エネルギー効率の向上や長寿命化、無溶剤化などにより環境負荷低減や省エネルギー化に貢献する材料を開発

環境配慮設備に必要な材料や部品、ソリューション需要の増加

短期

環境配慮技術開発の先行による事業機会獲得

短期

市場

気候関連情報の開示促進による企業イメージの向上

短期

  • 環境配慮事業の成長に向けた投資・開発情報の開示
  1. 1.5~2℃シナリオで最も顕在化すると想定
  2. 4℃シナリオ等で最も顕在化すると想定
  3. 短期:1年未満、中期:1年以上3年未満、長期:3年以上

リスク管理

当社では、サステナビリティ関連のリスクおよび機会を関連部門において協議し、全社的なリスクと機会を洗い出し、評価を実施したうえで、重要なリスクおよび機会を特定しています。そのなかで、気候変動リスクおよび機会については、所管する関連各部が協議したのち、サステナビリティ委員会にて、全社的リスクの洗い出し、評価が行われます。特定された重要リスクおよび機会については、サステナビリティ委員会で協議して対応方針や戦略・施策の立案、および見直しを実施します。その後、議論された内容は取締役会へ定期的に報告され、決議しています。

指標と目標

当社は、GHG排出量を気候変動への対応の評価指標としており、2030年度にGHG排出量(Scope1,2の合計)を2013年度比で30%削減することを目標に設定しています。この目標の達成に向けて、生産工程の合理化や高効率機器の導入、熱回収によるエネルギーの再利用など、エネルギー使用量の削減およびエネルギーの効率利用の取り組みを積極的に実施しています。

さらに当社は、燃料転換や非化石電力の導入、CCUS(Carbondioxide Capture, Utilization and Storage)技術の活用、バイオマスやリサイクル燃料の活用を通じて、排出量の抑制に取り組むことで、2050年度カーボンニュートラルを目指しています。これに加えて、GHG排出量削減に貢献する製品の開発・提供にも注力し、カーボンニュートラル社会の実現への貢献を果たしてまいります。

GHG排出削減ロードマップ(Scope1,2の合計)

2024年度のGHG排出量は、生産活動の増加により97.5万t-CO2e(Scope1,2の合計は49.7万t-CO2e)となりました。

2024年度のGHG排出量(Scope1,2,3)

GHG排出量

[千トン-CO2e]

Scope 1

直接排出

85.1

Scope 2

エネルギー起源間接排出

(マーケット基準)

412.2

(ロケーション基準)

329.9

Scope 3

その他間接排出

476.5

Scope 3 カテゴリー

GHG排出量

[千トン-CO2e]

カテゴリー1

購入した製品・サービス

292.6

カテゴリー2

資本財

19.9

カテゴリー3

Scope1,2に含まれない

燃料およびエネルギー活動

112.0

カテゴリー4

輸送、配送(上流)

49.3

カテゴリー5

事業から出る廃棄物

1.2

カテゴリー6

出張

0.6

カテゴリー7

雇用者の通勤

0.8

カテゴリー8

リース資産(上流)

ー ※1

カテゴリー9

輸送、配送(下流)

ー ※2

カテゴリー10

販売した製品の加工

ー ※2

カテゴリー11

販売した製品の使用

ー ※2

カテゴリー12

販売した製品の廃棄

ー ※2

カテゴリー13

リース資産(下流)

対象外 ※3

カテゴリー14

フランチャイズ

対象外 ※3

カテゴリー15

投資

ー ※4

※1:Scope1,2に含まれるため算定していません。

※2:販売先、用途が多岐にわたるため活動量データの収集が困難なことから算定していません。

※3:対象となる事業を実施していないため対象外としています。

※4:当社グループの主たる事業でないため算定していません。

【使用している排出原単位】

Scope1,2 排出量の算定には環境省温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度の係数を使用しました。

Scope3 排出量の算定には「IDEA Ver.3.4」および環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース V3.4」の係数を使用しました。

算定範囲 

Scope1,2:大阪ソーダグループ国内拠点

Scope3(カテゴリー1,2,4,6,7):大阪ソーダ国内拠点

Scope3(カテゴリー3,5):大阪ソーダグループ国内拠点

新設備におけるクリーンエネルギーの採用

2024年9月に竣工した松山工場のシリカゲル製造設備では、再生可能エネルギーを採用し、製造に使用する電力をCO2フリーとすることで環境負荷の低減に努めています、

GXリーグへの参画

当社グループは、2024年度より経済産業省が主導する「GXリーグ」に参画しています。

GXリーグは、2050年のカーボンニュートラル実現と社会変革を見据えてGXへの挑戦を行い、現在および未来社会における持続的な成長の実現を目指す企業が、同様の取組を行う企業群や官・学と共に協働する場として設置されたものです。

当社グループは、気候変動課題の解決に貢献するために長期的なゴールを定め、その実現に向けて、外部のイニシアティブ等の取り組みと連携・協働を図り、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しています。